GPSでの位置特定は不倫の証拠になるか
1 GPSの位置情報は不倫の証拠としては補助的な存在
結論から申し上げますと、GPSの位置情報自体は、有力な不倫の証拠とはいえません。
配偶者やその不倫相手への不倫慰謝料の請求の際には、不貞行為、つまり基本的にはその2人の間に性的関係があったことが証明されなければならないためです。
そして、GPSの位置情報は、どちらかというと不貞行為の証拠を集めるための手掛かりになります。
ただし、GPSによる位置情報の収集は、やり方によっては違法になる可能性もあります。
以下、不倫慰謝料の請求におけるGPS位置情報の利用と、GPS位置情報の収集が違法になり得るケースについて説明します。
2 不倫慰謝料の請求におけるGPS位置情報の利用について
GPSで取得される位置情報は、対象となる人(配偶者など)が通った道などの軌跡を記録したものと、現在の位置を示すものの2つがあります。
まず、軌跡を記録したものについては、対象となる人が立ち寄った場所などを知ることができます。
例えば、ラブホテルと考えられる建物に立ち寄っていたり、知らない人の住居と思しき場所に立ち寄っている場合、不貞行為に及んでいることが推測されます。
このようにして収集される情報を興信所などに提供することで、ラブホテルや不倫相手の自宅に立ち寄る場面の写真の収集などにつながることがあります。
現在の位置を示すものについては、リアルタイムでの尾行や追跡に利用されます。
例えば、ラブホテルや不倫相手の自宅にいることがわかれば、その近くで待機するということになります。
3 GPS位置情報の収集が違法になり得るケース
GPSによる位置情報の調査は、不倫の事実を調査するために有用な手段ではありますが、相手のプライバシーを侵害するものであり、やり方によっては違法行為となります。
例えば、配偶者のスマホに、勝手にGPSアプリをインストールすると犯罪になることがあります。
別居している場合に、配偶者の家に勝手に入り、カバンや自動車にGPS装置を取り付けることも犯罪になり得ます。